地下宮殿の入り口。
小さな建物のため、少し分かりづらい。

イスタンブールの地下宮殿は、英語では「The Basilica Cistern (バシリカ・シスタン)」と呼ばれている。

ここにはメデューサの頭と涙の柱が眠っているらしい。

この地下宮殿は、実際に宮殿として役割を果たしていた訳ではなく、532年にユスティニアヌス1世の命令によって作られた東ローマ帝国の貯水池だ。

長い年月の間、地下に眠っていたが、発掘されたことにより1980年代から一般公開されるようになった。

貯水池を支える柱の様子が、本物の宮殿らしい雰囲気があるため、地下宮殿と呼ばれているらしい。

「地下宮殿」という冒険心をくすぐるような場所は行かないわけにはいかない。

閉館まで30分しかなかったため、急いでチケットを購入して早速入館する。

入った瞬間、ひんやりした空気に包まれる。
手前の照明が眩しいが、奥は真っ暗で全く見えない。
ワクワクしながら階段を降りる。
ここから降りてきた。

シンメトリーに並んだ柱が、奥まで均一に続く。
不思議な世界に迷い込んだ気分。

地下宮殿は外からの光が一切遮断されている。足元のライトを頼りに慎重に歩く。

貯水池だったためか、底を覗き込むと水が溜まっていたり湿っていたりする。
魚がいる箇所もあるらしい。
柱は均一に並んでいるが、模様や柄は一本ずつ異なる。
まるで本当の宮殿のようだ。
観光客のカメラのフラッシュが向かい側から時々見える。
涙の柱。
この柱だけずっと濡れていることから、こう名付けられた。
この地下宮殿が造られた際、数百人にも及ぶ奴隷が犠牲になった。これは、その方達の涙だという言い伝えがある。
さらに奥に進むと、なにやらポップな字体で「メデューサ」のサインが見えた。
矢印の方向へ歩く。
人だかりが出来ている方へ向かう。
裏を回ってみると、いた。
メデューサの頭、発見。
逆さまになっている。
怖い…。

メデューサの頭は、1980年代の改修工事で初めて発見された。

水がものすごい勢いで注がれている。
もう一つ発見。
こちらは左頬が地中に埋まっている。
出入り口付近が何やら眩しかったため見てみたら、伝統的な衣装を身にまとって写真撮影ができるブースだった。
きらびやかな衣装だが、当時はここは宮殿ではなく貯水池であったため、このような位の高い身分の方々は訪れなかったのでは?と疑問に思いつつ、地下宮殿を後にする。
出口。
ようやく光に包まれて安心。
日差しが暖かい。
当時ここで奴隷として働かされていた人々はどれだけ苦しかったことだろうかと想像しただけでゾッとする。

時刻は夕方6時半。外はまだ明るく、夕飯まで時間があるため、海辺に向かいつつ、プラプラ散歩することにする。


Airi Tabei

田部井 愛理(たべい あいり) 1994年生まれ。 世界一周、ロードトリップ(アメリカ西海岸往復、アメリカ横断、アメリカ国立公園巡り)達成。 日本の大学を休学し、シアトルへ留学。 アメリカ生活が楽しくなり、日本の大学を中退してシアトルのHighline College (短大)でHospitality and Tourism Managementを専攻。卒業後はUniversity of Washington Tacoma(ワシントン大学)に編入しArts, Media and Cultureを専攻、卒業。 ニューヨークで、週間情報紙「ニューヨークBiz!」で1年間OPTとして働いた後、日本に帰国。

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