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デトロイト美術館展からわかる印象派の変遷

デトロイト美術館展へ!

上野の森美術館で開催されていた「デトロイト美術館展〜大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち、モネ、ルノワール、ゴッホ、セザンヌ、マティス、ピカソ」へ、行ってきました。

 

私が訪れたのは、1月18日(水)。

その週末の1月21日(土)までの開催だったので、そろそろ閉幕ということで、会場内は混んでいました。

 

入り口はこんな感じです。チケット売り場から混んでいました。

 

1200円の学生料金で入れると思ったのですが、なんと学生証の期限切れということで、大人料金の1600円で入場。

 

 

上野恩賜公園にある数々の美術館は、曜日によりますがわりと早い時間に閉館するイメージで、今回の開館時間は9:30〜16:30(毎週金曜9:30~20:00)でした。

 

他の予定もあったので、15:30に会場へ入ったので1時間で回ることに。

 

 

普段は2時間以上かけて、作品1つ1つのタイトルやコメントを見て、感想を書き留めているのですが、今回のメインは印象派ということなので、そこを中心に鑑賞してきました。

 

ちなみに、美術館などではシャープペンシルを使うことはできません。芯が折れて作品に少しでも影響があるといけないからということだそう。

ですので、メモを取る際には近くにいる係員さんに専用のペンをお借りしてください。

 

 

 

 

見所は?

この展覧会は4つのブースに大きく分けられています。

 

 

<第1章>印象派

<第2章>ポスト印象派

<第3章>20世紀のドイツ絵画

<第4章>20世紀のフランス絵画

 

です。

 

今回は、第1章と第2章を重点的に回りました。

 

 

 

 

第1章 印象派

まずは、第1章ではモネやドガ、ルノワールをはじめとした、印象派の作品が13点ありました。

 

 

この中で一番注目を浴びていた作品はこちら!

 

クロード・モネ《グラジオラス》1876年頃

 

モネの作品、《グラジオラス》です。

 

 

この女性はモネの妻であるカミーユ。

 

全体的に色彩豊かで、見ていると明るい気分になります。

 

 

印象派の特徴は、光や風景の描写が生き生きと描かれていること。

 

モネのこの作品から、印象派の特徴的な描写を最大限に引き出されています。

 

 

 

 

第2章 ポスト印象派

 

続いて第2章!

 

まずは、ゴッホの作品を見ていきます。

 

 

フィンセント・ファン・ゴッホ《オワーズ川の岸辺、オーヴェールにて》1890年

 

 

この作品は日本初上陸

 

 

モネの暖かな画風に対し、ゴッホのこの作品は丸みのない、短い線をたくさん描いて草木を表現しています。

 

見ていると不安になってくるような描写です。

 

 

事実、彼はこの作品を書いた同年の7月29日に銃で自殺します。

 

 

この作品を見て、ゴッホの不遇や心の苦痛が全面に現れているように思えました。

 

 

モネが86歳で亡くなったのに対し、ゴッホは実に短命で、37歳でこの世を去っています。

 

 

 

 

続いてはセザンヌ

 

 

ポール・セザンヌ《サント=ヴィクトワール山》1904年-1906年頃

 

 

モネ、ゴッホに比べて、かなり大胆な筆遣いです。

 

 

平坦な感じに見えますが、実は「近代絵画の父」と呼ばれるほどで、計算づくされた構図になっています。

 

 

サント=ヴィクトワール山は彼が隠遁生活を送った、フランスのエクスという街の郊外にある大きな山。

 

セザンヌは、この山に関する作品を他にも多数描いています。

 

彼にとって、この山が非常に重要なポイントになっていることは間違いなさそうです。

 

 

 

 

 

最後は、この展覧会の看板であるゴッホの自画像!

 

 

フィンセント・ファン・ゴッホ《自画像》1887年

 

 

ゴッホは数多くの自画像を描いています。

 

その中の1つが今回、大きく取り上げられていました。

 

 

彼は翌年の1888年の冬、南フランスのアルルという街で共同生活を送っていたゴーギャンと口論になり、左耳を自分で切断してしまいます。

 

 

 

今でもなお、その原因の真相は分かりませんが、1つの説として、ゴーギャンが「ゴッホの描く自画像の耳の形が変だ」と言った為だと言われています。

 

 

この自画像を見てみると、確かに少し耳が赤らんでいて、特徴的な耳の形をしている感じがしませんか?

 

 

 

 

この展覧会での、新しい発見は?

展覧会というものは、新しい発見や発明があった時に開催されるのですが、今回は3ありました。

 

 

 

まず、この展覧会が開催されるきっかけとなったのは、これらの作品が展示されているアメリカのデトロイト美術館の経営危機にあります。

 

 

2013年、デトロイト市では財政面でかなりの苦境に陥っていました。

 

 

市の財政復興の為、これらの作品を売却して、資金を集めようという取り決めが下されようとしてしまいます。

 

 

そんな中、国内外やデトロイト市民の協力によって、展示作品を1点も欠くことなく維持することができました。

 

 

このことがきっかけで、今回の展覧会が開催されました。

 

デトロイト美術館の威厳を再び示す、記念すべき展覧会です。

 

 

 

 

今回はなんと、触れる展示が大注目を浴びていました!

 

 

3Dプリント技術インクジェット技術を駆使し(立体複製画制作技術)、本物の作品を立体的にコピーし、再現されたものです。

 

 

これらは撮影可能で、上に挙げた写真は本物ではなく、この複製技術で作られたものを撮影しました。

 

 

実際に触ることによって、本物の質感、立体感、筆遣いを感じられるような、素晴らしい展覧会でした。

 

 

 

 

月曜日と火曜日限定で、なんと全作品の写真撮影が可能になっているのも、この展覧会の最大の魅力です!

 

 

残念ながら、私が訪れたのは水曜日だったので撮影することは出来ませんでした。

 

 

他の展覧会でも、ぜひ取り入れていただきたいです!

 

 

 

 

 

 

購入品

記念として、訪れたところで気に入ったポストカードを購入するのが日課になっています。

 

 

今回は、6枚のポストカードを購入。

 

 

(左上)Pierre Auguste Renoir《Seated Bather》1903-1906/(中上)Henri Matisse 《Poppies》c.1919/(右上)Henri Matisse《The Window》1916/(左下)Vincent Willem van Gogh《Self Portrait》1887/(中下)Vincent Willem van Gogh 《Bank of the Oise at Auvers》1890/(右下)Paul Cezanne《Mont Sainte-Victoire》c.1904-1906

 

 

 

 

後日、上野の明正堂書店で見かけた大好きな雑誌、Penゴッホ特集をしていたので、思わず購入。

 

 

 

 

 

(左)明正堂書店のレジ横に置いてあったしおり/(右)展覧会の入場チケット

 

 

 

 

 

 

前回の訪問の印象

約4年前に訪れた際に撮影した一枚。

 

 

上野の森美術館に来るのはこれで2回目。

 

初めて訪れたのは、2012年の夏から翌年の年明けにかけて開催された「ツタンカーメン展〜黄金の秘宝と少年王の真実〜」の時でした。

 

 

当時は高校3年生の秋で受験生。

受験勉強に疲れていたし、どこか出かけたいという思いがあり、この展覧会へ来ました。

この時は受験のことは忘れて、思う存分に展示品を眺めていました。

 

 

 

でも、この時も思ったのですが会場が小さい。

展示される作品の数もかなり限られてくるので、どう展示するかが非常に重要になってきます。

 

 

 

帰り際に、会場から歩いて15分ほどにある合格祈願で有名な湯島天神へ行き、お参りをしてお守りを買いました。

 

中学、高校3年次の担任の先生や塾の先生が必ずと言っていいほど祈願しに行って、鉛筆を買ってきてくれるところ、というイメージが強いです。

 

 

 

この他にも、上野周辺には動物園やアメ横など、たくさんの観光スポットがありますので開拓していこうとおもいます。

Airi Tabei

田部井 愛理(たべい あいり) 1994年生まれ。 世界一周、ロードトリップ(アメリカ西海岸往復、アメリカ横断、アメリカ国立公園巡り)達成。 日本の大学を休学し、シアトルへ留学。 アメリカ生活が楽しくなり、日本の大学を中退してシアトルのHighline College (短大)でHospitality and Tourism Managementを専攻。卒業後はUniversity of Washington Tacoma(ワシントン大学)に編入しArts, Media and Cultureを専攻、卒業。 ニューヨークで、週間情報紙「ニューヨークBiz!」で1年間OPTとして働いた後、日本に帰国。

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Airi Tabei
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